1. 顔料のご紹介

  2. デジタルカタログデータ

  1. 着色見本

  2. 使用方法

  3. 施工事例

  4. 安全性情報(SDS)

  5. 表面に起こる不具合について


「信彩」 ~信楽焼製造原料の展開~

釉薬の着色に使用する顔料は、無機鉱物を精製し、それらを組み合わせて焼成することで様々な色彩を得ます。いずれも物質の構造が非常に安定的であるため、これを他分野の技術と融合して普及できないかと考えました。

モルタルや漆喰も、元を辿れば弊社が日常業務の中で扱う鉱物原料と同じものです。釉薬に関しても液体となればモルタル等と同様に強いアルカリ性を示しますが、そんな環境の中でも構造が破壊されることなく発色は安定的です。

顔料として構造の強さ、環境に対する強さを有するものにさらなる付加価値を与えるべく、光触媒機能を持つ原料を配合し、着色材としてだけではなく、機能性を兼ね備えた複合顔料として調整しました。

この複合顔料には、ブランド名として「信彩」と名付けました。これには、「信」楽焼に 使用される原料を元に、「信」楽の地から「信」頼できる「彩」を届けるという意味を込めました。


「信彩」の概要
「信彩」の特徴
「信彩」の使用方法
「信彩」の性能試験

「信彩」の概要

モルタルや漆喰に混ぜ込むことで様々な着色が可能な機能性複合無機顔料です。


使用方法は、母材に混ぜこんで練り上げるだけなので非常に簡単です。
(具体的な使用方法は後の項をご覧ください)


基礎となるセメントを打設後、「信彩」で着色して練り上げたモルタルを上部に施工して仕上げることで、様々な色彩を持った施工面を得ることができます。


発色具合に関しては、通常のセメントでも着色しますが、ホワイトセメントなど白色度の高いものを用いると、より顔料色に近く強い発色を得ることができます。

母材に対する混合量によって、容易に色を変化させることができます。

混合量は母材の硬化性を維持する関係から、重量比10%以下(外割)としてください。



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「信彩」の特徴

「信彩」は、信楽焼に使用されている「鉱物資源」を原料とした無機の顔料に光触媒機能を持つ原料を配合した機能性顔料で、以下のような特徴があります。

●熱や水に強い

高温で焼成された安定な構造を持つ無機顔料なので、熱に強く不燃性。また耐食性も高く、水に侵されにくい。

●紫外線に強い

耐候性が高いため、太陽光にさらされた場所で色褪せを起こしにくい。

●母材との相性がいい

セメントや漆喰の原料は、焼き物の原料として用いられるものと共通しており、顔料との相性が非常に良く、施工後においても性能や色彩が安定的。

●紫外線が当たることで環境浄化機能を発揮する

光触媒効果により、紫外線が当たることで除菌、消臭、防汚など環境浄化作用を発揮する。

●紫外線が当たることで水濡れ性が高くなる

紫外線が当たることで表面の水濡れ性が高くなり、雨などで定期的に水が流れることにより表面が洗浄されるセルフクリーニング作用が発揮される。




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「信彩」の使用方法

①配合

セメント・砂を1:2で計量し、外割重量比で指定の色になるように計量した信彩を混ぜ込んでモルタルの元とします。

②練上げ

水を加えて練り上げます

③施工

ある程度締まった下地のコンクリート 面上に塗りつけて施工します。


(既に打設されて硬化したセメント面に施工する場合はモルタル接着増強剤(市販品)を接着面とモルタルの 両方に使用し、施工してください)

④仕上げ

金ゴテで押さえて仕上げます。


地面に施工する場合、着色モルタルの厚みは1㎝以上として頂けると作業性が向上し、強度が確保できます。 



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「信彩」の性能試験

・圧縮荷重強度試験
  :一般的なモルタルとの性能比較。混合量による性能への影響評価
・バフグラインダ摩耗試験
  :顔料未混合品との性能比較。混合量による性能への影響評価
・引張試験
  :基礎部と着色部の密着力の評価
・耐候試験
  :外環境においての耐退色性の評価
・光触媒活性試験
  :紫外線照射時の有機物分解反応やクリーニング効果の評価

試験結果

・曲げ試験 カラーモルタルの曲げ強度測定

試料No.曲げ強度(N/m㎡)
(通常モルタル)
曲げ強度(N/m㎡)
(カラーモルタル)
14.894.71
24.734.87
35.014.97
平均4.874.85

試験機
㈱島津製作所製 オートグラフ AGX-V

・ 母材 → セメント:砂:水
  =1 : 3 : 0.6
・ 顔料添加率 : 外割で5wt%
・ 材齢 ⇒ 4日
・ 試験片 ⇒A 17㎜× B 18㎜×C 40㎜
○顔料添加の有無によらず、曲げ強度はほぼ横這いであるので、5wt%の顔料添加による強度への影響はほぼないと考えられます。



・引張試験 通常のモルタルとカラーモルタルの界面密着性測定

試料No.引張強度(N/m㎡)
接着面
通常-通常
引張強度(N/m㎡)
接着面
通常-カラー
10.150.12
20.070.08
平均0.110.10

試験機
㈱島津製作所製 オートグラフ AGX-V

母材 → セメント(※1):砂:水
  =1 : 3 : 0.6
・ 顔料添加率 : 外割で5wt%
・ 材齢 ⇒ 3日
・ 試験片 ⇒
   A 17㎜× B 8.5㎜×C 80㎜
○顔料添加による大きな影響は見られませんが、それほど強い密着性はないと思われるので、施工面の状態や密着増強剤を添加する等の処理が必要であると考えられます。

※1:使用セメント:ポルトランドセメント使用砂:左官砂(~1㎜程度粒)

 


・バフ摩耗試験 石材用艶出しバフ押し当てによる摩耗試験

試料No.通常モルタルカラーモルタル
試験前厚み
(㎜)
試験後厚み
(㎜)
変化量
(㎜)
試験前厚み
(㎜)
試験後厚み
(㎜)
変化量
(㎜)
124.9624.930.0325.0225.000.02
225.3425.330.0124.8624.830.03
325.1225.110.0125.2225.210.01
平均0.0170.02

・ 母材 → セメント:砂:水=1 : 3 : 0.6
・ 顔料添加率 : 外割で5wt%
・ 材齢 ⇒ 12日
・ 試験片 ⇒ 厚み25㎜(カラー部分:10㎜)
・ 20秒間バフ砥石押し当て後、ノギスにて厚みの変化測定
○短期的な摩耗性能は通常のモルタルとほぼ変化がない
  結果でした。



・耐侯試験

10/21に作製した5色の試験片において、10/29~11/30の期間中に屋根の無い屋外に放置し、
色調を目視にて確認しました。
・ 日中の日光照射時間:AM7:00頃~PM2:00頃の約7時間
・ 信楽の天候履歴:晴17日、雨9日、曇7日
・ 信楽の気温履歴:最低気温‐4.1℃(11/29)、最高気温21.1℃(11/1)

○目視確認においては、約1か月間屋外放置した段階での色彩の変化はほぼ無いと確認出来ました。



・光触媒試験

メチレンブルーを染み込ませた試験紙を、カラーモルタルを施工した試験片上へ置き、紫外線ライトを1時間照射したときにおいては、僅かに脱色の傾向が見られましたが、その反応が実際に顔料に配合した光触媒効果を持つ原料の効果であるかどうか、それによってどの程度のクリーニング効果があるかについてはもう少し検証する必要があると考えます。専門機関に受託試験を行う予定です。

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